10周年スペシャルインタビュー
デビュー10周年を迎えて、10年間の「感謝」を胸に、さらなる飛躍の年とするべく、新レーベルを設立! そこでいったい何を仕掛けていこうとしているのか? これまでの10年を踏まえて今、どんなことを考えているのか? 首謀者・きゃりーに直撃してみました。
新レーベル「KRK LAB」に込められた意味
– 10周年、おめでとうございます!
どうもありがとうございます! この10周年を機にこれからも、もっともっといろんなことに挑戦していくために、今回の新曲『ガムガムガール』から新レーベルを立ち上げます。その名も「KRK LAB」(けーあーるけーらぼ)です!
– その名前の由来は?
“KRK”は「KPP Reversible K」の略で、最後の”K”はきゃりーぱみゅぱみゅと一体となった“ありのままの私”です。この10年間は主にきゃりーとして活動してきましたが、最近は「Nostalgia Syndrome」というフレグランスブランドのプロデュースもしていて、この先、きゃりー以外としてのチャレンジもたくさんしていくことになりそうだなと思ってそうしたんです。これまでの活動も継続しながら、ありのままの私がいろんなことに挑戦するレーベルです。
– なるほど、いろんなことをやっていくからKRKに実験室を表す“LAB”がついているんですね。
そうなんです。例えばですが、声優やお芝居やプロデュース業もやっていきたいなと考えています。犬と行けるカフェとかもプロデュースしてみたいんですよね。「犬OK」って書いてるのにテラス席だけで「寒いだろ〜」ってことが多いので(笑)。あとは前からずっと言い続けていますが、マンションもいつかプロデュースしてみたいです。
– そしてKRK LAB一発目の曲となる『ガムガムガール』ですが、これはどんな曲ですか?
Nintendo Switchの『ニンジャラ』というゲームのタイアップ曲で、忍者がガムを使って戦うから“ガム”なんですけど、とてもパワフルでみんなで踊ったり歌ったりしたくなるような曲です。間奏やサビの部分とかはちょっと懐かしさを感じるメロディラインでとても歌いやすいので、早くライブで披露したいし、コロナが終わったらカラオケでみんなで歌いたいです。
– さらにそのMVですが、そんなパワフルな楽曲に負けないくらい、激しいアクションを披露していますね。
めちゃめちゃ練習しました! でも、いわゆる皆さんが思い描く“忍者”はもう『にんじゃりばんばん』でやったことがあるし、もうそっちの忍者はいいだろう…ということで、今回はとにかく今までの私にはない世界観にこだわりました。それで田向潤監督と考えたのが、“近未来サイコキネシスニンジャムービー”です。
思いっきりボコボコにされるきゃりー
– 近未来サイコキネ…どういうことですか?
近未来の忍者って多分こうだよね?というイメージから膨らませていった世界です。私も田向監督も『キングスマン』っていう映画が好きで、紳士服姿で戦うアクション映画なんですけど、その“泥臭いケンカ”みたいな要素も取り入れています。今回の新曲は楽曲聴いて、ああこういう感じなんだろうなというイメージとはいい意味で期待を裏切っているMVだと思うので、ぜひ観てほしいです!
– なるほど、それで汗や血の匂いが漂ってきそうな、本格アクションになったんですね。まるで映画の予告編みたいです。
ありがとうございます! アクションは、実写映画『るろうに剣心』のアクション監督もやった谷垣健治監督から教わったんですよ。ドロップキックは本番で7回もやりました(笑)。なかなか思ったより高く飛べなくて。もちろん高いところから落ちるシーンとかは、プロのスタントさんに入ってもらいましたが、でもそのシーンも2〜3カットくらいで、ほとんどのアクションは自分でやっています。せっかくやるんだったら、ちゃんと顔を見せて自分でやりたかったので。
– 難しかったシーンはどれですか?
肘打ちですかね。想像以上に相手に近づかなきゃいけなくて、「もっと入り込んで打て!」と監督に言われましたね。それで相手にぶつかったらつい「すいません」って言っちゃうんですけど、「すいませんとか言ったら、撮り直しになるから二度と言わないでくれ!」って言われたり(笑)。だから本当に殴っちゃってるシーンがいっぱいあります。相手の肉や骨の感触を感じながらやりました。
– それがあの映像の生々しさになって出てるんですね。きゃりーさんの顔つきもまさに戦士という感じでした。
「殺すっていう勢いで敵に挑んでくれ」と谷垣監督に言われて、そういう気持ちでやったら自然とその顔になりました。敵と戦うMVは以前にもやったことがあるんですけど、私のほうが圧倒的に強かったんですね。でも今回の敵は私の強さの5倍、いや、もっとかな? 私は後半までけっこうボコボコにされて、あんなん死ぬじゃん!ってくらい顔に膝蹴りされたりします。
– 初めての経験ゆえに、学びの多い撮影だったのでは?
学びはめっちゃありましたね。例えば、「日光江戸村」の忍者ショーの忍者はまじですごい! 相手の技をギリギリでかわして、流れを止めずに自分の技を出すことの難しさ。やってみて初めてわかることばかりでしたね、普段はわりと暴力とかけ離れたファンタジーにいるので(笑)。
コロナ禍で自分自身を見つめ直した
– 10年前のデビュー当時の自分に何か言えることがあるとしたら?
「感謝の気持ち忘れるなよ」って言いたいですね。でもあの頃は10年も活動するなんて本当に思わなかったですね。正直1年半くらいだと思ってました(笑)。なのにおかげさまで10年もやらせていただいてきて、そしてこのコロナ。本当に何が起きるかわからないですよね…。
– 本当にわからないです。
去年の今頃って、まだ中国の奥地のほうで新型ウイルスが見つかったぞみたいに言われていて、まるで自分とは全然別世界の話のように思ってたんですけど、やがて日本の芸能人が感染して、知り合いの知り合いが、そして直接の知り合いが…と、ウイルスがだんだん自分の世界の中に入り込んできているのを実感して怖くなりました。
– 本当に全世界が一変してしまいましたよね。
それでステイホーム中に私もいろいろ考えたんですよ。音楽って本当に今ライブができない。さらにCDも売れない時代になっていて、これまでのように音楽一本というよりは、ポジティブに他にもいろいろやっていきたいなって。それに、けっこう今までって、自分で自分の可能性を狭めていた部分もあったと反省したんです。
– 可能性を狭めていた?
今までの10年は、とにかく“何でも屋さん”になりたくないっていうのがあったんです。デビューする前は読者モデルをやっていたので、しっかり音楽活動に打ち込むために、あえてバラエティ番組に出ないようにしたり、自分の活動を絞り込んでいたんです。
– なるほど、10年前はもうファッションのイメージが強くついていたから、それを上回る勢いで音楽に集中しないといけなかったと?
そうしないと、フワフワした中途半端な感じになっていたと思います。でも、それを一生懸命続けた結果、“原宿のデカリボン”になっている。デカリボンなんて本当は8年くらいつけてないですけど、世間的にはその印象が強い。こないだTikTokに『ふりそでーしょん』の動画を上げたら、みんな口を揃えて「懐かしい」ってコメントを書き込んでいるのを見て、“懐かしい存在”になったらダメだってすごく思いました。
– たしかに10年も活動をしていると「懐かしい」という層も出てくるんですね。
「自分が小2のときに『にんじゃりばんばん』踊りました」とか、10年もやってるとそういう記憶を持つ人が現れますよね。私自身も自分の世代の曲を聴くと、つい「うわ、懐かし〜」とかすぐ言っちゃうんですけど、そこで止まらないように常に新鮮さを求めていきたいです。
– まさに今が節目なんですね。
だから“何でも屋さん”じゃないけど、“何でもチャレンジ屋さん”になっていきたいです。それで全然違うなって思うことあるかもしれないですけど、自分で自分の可能性を狭めることのないように。やっていった先で、何がどうなっていくのか本当にわからないですから。
– 本当にその通りです。
しかも10周年のタイミングで私のチームも、そしてレーベルも、私の周りは全部変わりました。だから私も殻を破っていろんな挑戦をしていかないといけません。それこそ新人の気持ちでゼロからまたスタートしたい10周年っていう感じです。だからこれからは原宿のデカリボンをボコボコにしてやりますよ! 今回のMVみたいに(笑)。